Panda Calendarを作ったきっかけは、ちょっとした不満でした。
うちのリビングにはAndroid TVがあります。ニュースを見たり、動画を楽しんだりするのに使っていましたが、あるとき妻に「テレビで今週の予定が見られたらいいのに」と言われました。
「それもそうだな」と思ってGoogle Playを探してみると、Android TVで使えるカレンダーアプリがほとんどない。あっても、スマホ向けのアプリをそのままテレビに流用したもので、リモコンでの操作が想定されていなかったり、文字が小さすぎて離れた場所から読めなかったり。
「なければ作ればいいか」というのが始まりです。
最初はとにかく「うちで使える」ものを作るだけだった
アプリを作ったことはあったので、技術的に無理というわけではありませんでした。でも当初の目標はあくまで「うちのテレビで妻がGoogleカレンダーを確認できる状態にする」だけです。大げさな計画はありませんでした。
最初のバージョンはかなり素朴なものでした。カレンダーが表示されて、予定が見られて、リモコンで操作できる。それだけです。
ところが妻に見せたとき、最初に言ったのが「アイコン、もっとかわいくしてよ」でした。妻は絵を描くのが好きで、自分でデザインを提案してきました。「パンダにしたら?」という一言が、このアプリの名前とキャラクターを決めました。
「ジャケ買い」戦略という名の妻の直感
アイコンのデザインは全部妻が描いています。本人は「かわいければダウンロードしてもらえるから」と言っていて、実際その通りでした。
アプリをリリースして最初の数週間、予想外のペースでダウンロードが増えていきました。日本だけでなく、海外からのダウンロードもありました。機能の説明を読んでダウンロードした人よりも、アイコンを見て「かわいい」と思ってダウンロードした人の方が多かったと思います。
妻はその結果を見て「ほら、言ったとおりでしょ」と言っていました。正直、その通りです。
息子のアイデアが機能を増やしていった
アプリをリリースしてしばらく経ったとき、息子が「天気も出してよ」と言いました。当時は小学生で、カレンダーに天気が表示されていたら遠足の日が楽しみになる、という発想だったようです。
実装してみたら、これが好評でした。「カレンダーに天気予報がほしい」というレビューが届くようになり、今では主要機能の一つになっています。
スタンプ機能も、「カレンダーに絵を貼れたら楽しい」という家族の話から生まれました。うちの開発会議は夕食の席で行われます。
気づいたら世界中に届いていた
Googleカレンダーは世界中で使われているサービスです。Android TVも日本だけでなくグローバルに普及しています。「テレビでGoogleカレンダーを使いたい」というニーズは、日本だけでなく世界中にありました。
アプリを多言語対応にしていったのは、海外のユーザーから「自分の言語に対応してほしい」というリクエストをもらったのがきっかけです。今では40言語に対応しています。
うちの家族のちょっとした不満から始まったアプリが、今では世界中の家族のリビングに届いている。それは正直、まだ少し不思議な感じがします。
これからも家族が使いたいものを作る
開発の方針は、最初から変わっていません。「うちで使って便利だったものを作る」です。
機能のアイデアは今でもよく家族から出てきます。妻はデザインのことを、息子は「こういう機能があったら」という話をしてくれます。全部は採用できませんが、方向性を考えるときの大事な参考になっています。
これからも、家族が使いたいと思えるアプリを作り続けたいと思っています。